西尾音吉氏の「機玄」という本

  今日は送別会なので工作を休みます。

  西尾音吉氏は日本の鉄道模型の創世時にかなり活躍された方の様で、TMSの社名である「機芸出版社」の名称にも影響を与えたと言われています。一文字違っても、「機芸」と「機玄」の意味する所は近いと思います。

  この本は難解で、多くの友人は「読む価値はない」と切り捨てていますし、それで間違いは無いとも思います。しかし一部の方から読んでみたいというお申し出があり、時々貸し出しています。西尾氏はかなり独断でこの本を書かれているので、一つには西尾氏の「造語」がわかり難いという事、もう一つは工作機械等は使わず、総て手作りなものに価値があると決めつけている点が反感を買うのだと思います。

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  ただしコンは筆者が何を言いたいのか?ということを考察すると、どうも鉄道模型製作における美とか芸術性をどう意識するか?という問題を突きつけられているような気がします。かつてTMSになかおゆたか氏が「鉄道模型における造形的考察の一断面」という記事を書かれ、鉄道模型にも芸術性が必要と説かれていましたが、「モケイはモケイ、ゲイジュツじゃない!」という反論もあったようです。

  コンは模型はせいぜい「工芸品」のレベルで十分で、絵画や書のような高い芸術性は必要ないと考えていますが、美や芸術性を重んずるモデラーもおられて構わないでしょうし、模型に対する考え方は人様々で良いと思います。その中で、お互いに批評し合ってある方向性が出来てくるのでしょう。西尾氏の著書に反感を覚えられる方は、西尾氏の独断性に反感を感じてしまうのだと思います。

  コンはガラス工芸でもこの問題にぶち当たりました。そしてあくまでガラス工芸は「楽しい装飾品作り」としてきましたが、「アートを目指すべき!」と強調する方もおられ、そこに幾ばくかの軋轢もありました。

  模型はアートなのでしょうか?アートを目指すべきなのでしょうか?これは重いテーマであると同時に、各人各様の考え方になって来て、ゲージ論と同じくまとまらない不毛な議論になりそうです。今回は鉄道模型におけるアートの問題を提起するに留め、これ以上の議論は控える事にします。そして、コンの一番の考えは「楽しむのが一番」ということです。