サーメットチップ

  旋盤で使う超硬チップは工業用のタフな奴で、私たちアマチュアであれば、よく研いだハイスのバイトが一番ということはさておいて、今回取り上げるサーメットチップはあまり模型界では話題になりませんが、偶然その存在を知ってから使いやすいのでホルダをつけてKKC会員を中心に頒布しています。本来こういうものはホルダやチップスクリューも決められたものを使い、工業的な知識のもとに使うものではありますが、小型旋盤にも使いやすいタイプがあるので、この話題をご紹介します。画像の一番左は三菱のDCET070201Rで、つまりダイヤモンド型で逃げ角が7度、一辺が7mmで厚さが2mm、先端は0.1で右勝手仕上げというもので、KKCの会員に頒布している標準品です。

  ちなみにチップの形状全ては品番で読み取れます。こちらをご参考に。

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  左から2番目は高価なダイヤモンドバイトで、クランクピンなど角をきっちり出したい時に使います。

  一番右は安価なチップで0.4Rなので、鉄やドリルロッドで汎用していました。問題は今回入手した右から二番目です。恐ろしく切れるのですが、切削面に光沢が出るのです。これには驚きました。もともとバイトの先端は僅かに丸まっていた方が切削面が綺麗なことはわかっていましたが、この独特のブレーカのせいでしょうか、綺麗に削れます。しかも安価。1ケ100円台は三菱の1/10です。サーメットチップの欠点は欠けやすいこと、高さを間違うと喰ってしまって欠けます。H御大は「切れるけどよう欠けまんなあ」と言ってます。特に先端が鋭いとドリルロッドなどで欠けやすく、0.4Rくらいが良いと思います。邪道ですが0.4Rはタイヤの踏面にも(大体)使えます。

  幸い画像の4種類のバイトホルダは共有できるのです。まあ、コンのいい加減な加工でもホルダは作れますので、今回も量産しています。その時このチップも交換用として添付しようと思っています。

  バイトの材料としては硬いのは超硬ですが、靭性はハイスが一番です。サーメットはこのように両者の中間にあたります。

  ホルダは横フライスで作るのが簡単、いくらでもできます。当面KKC集会に向けて準備しますが、もしご興味があればご連絡ください。小型旋盤なら十分使えますし、非常に良く切れます。コンの旋盤ではφ0.2のピンも作れます(快削材の場合)。